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メール誤送信で損害賠償請求がある!?誤送信の原因と対策
メールアドレスは企業でも使用しており、一度相手にメールを送信すれば取り消しはできません。
中には、宛先ミスによるメール誤送信も発生しています。
企業が扱う機密情報や個人情報を、第三者に誤送信してしまえば、賠償問題にもなりかねません。
この記事では、メール誤送信の原因と対策、そして誤送信で損害賠償はあるかどうかみてみましょう。
メール誤送信の原因と実例
株式会社イードの「日本情報漏えい年鑑2020」のデータでは、2020年に発生した情報漏洩数は514件でした。
メールの操作ミスによる情報漏洩は58件あり、操作ミスの中で多いのが宛先ミスです。
また、リサーチ会社による調査では、メール誤送信をしたことがあると6割の方が回答しました。
プライバシーマークを取得した企業でも、情報漏洩事故の原因1位がメール誤送信でした。
メール誤送信では、以下のような原因によって発生します。
・宛先ミス
・添付ファイルミス
・文面ミス
メール誤送信で多いのが、宛先ミスです。
BCCとCCを間違える事例や、過去に送信したメールを編集してそのまま宛先を残して送信するケースがあります。
BCCで送信するべきところをCCで送信すれば、メールを受け取った方はメールアドレスが全部みえます。
添付ファイルを送るにしても、違うデータを添付するケースもあります。
契約書や見積書、または個人情報が含まれた書類もあるために、添付フィルミスは大きな事故に繋がりかねません。
文面ミスでは、本文記入途中で送信するケースや、間違った文面を消さずに送信するケースなどがあります。
個人情報流出などに繋がるケースは少ないですが、メールを受け取った相手の印象は良くありません。
メール誤送信の実例
メール誤送信が発生する企業は、業種や規模が様々で、このような企業だから起こるということはありません。
いくつか実例をご紹介しましょう。
2020年、ある企業で添付ファイルの誤送信による情報漏洩が発生しました。
取引先に向けたメールに誤って、金融機関情報を添付して送信したのです。
添付ファイルには、企業の銀行口座や口座名義人情報が記載されていました。
2021年には保険団体が後期高齢者の被保険者データを自治体にメール誤送信する事故がありました。
メールには氏名などの個人情報の他に、医療健診や介護情報などと238項目にも及びます。
この事件では、データ抽出段階で条件を間違えたために事故が起こりました。
同じく2021年には、自治体が教員選考試験の日程をメールで送るときに、誤って受験者のメールアドレスも送信してしまいました。
本来BCCで送信するところをCCで送信したために、約3,000件のメールアドレスが外部に流出したのです。
これを受けて自治体はメールアドレスではなく、電子申請システムによる連絡に切り替える予定です。
メール誤送信のリスク
メール誤送信では、個人情報漏洩と機密情報漏洩のリスクがあります。
第三者に個人情報が流出し、場合によっては開発商品データや研究データなどの流出もあるかもしれません。
一度に大量の情報が漏れてしまい、宛先の件数によっては何カ所にも情報が漏洩します。
もしもメール誤送信があれば、自社のイメージダウンに繋がるのはもちろん、自社の信用が落ち、取引先からの契約解除や取引解除が行われます。
機密情報が漏れて企業に多大な被害を及ぼした場合は、報道機関から追及される可能性もあります。
個人情報が漏洩し第三者に悪用されたときは、損害賠償請求を起こされます。
漏洩情報が氏名や生年月日などの基本情報であれば、損害賠償額は1件につき1万円前後です。
何百件や何千件もの個人情報が流出したならば、損害賠償額が莫大になります。
2002年にはエスティックサロンから個人情報が流出し、顧客の受けたエステコース名やスリーサイズなどデリケートな情報が漏れたために、ひとりあたり35,000円という高額な賠償金が求められました。
メール誤送信対策
メール誤送信を防ぐための対策は、主に以下の二つです。
・送信前に再確認する
・添付ファイルにパスワードを設定する
メールを作成した後は、宛先や本文、添付ファイルにミスがないか一度確認しましょう。
ToやCCも間違えていないかチェックします。
また添付ファイルにパスワードを設定し、パスワードは別のメールで送る方法も効果があります。
間違った相手に添付ファイルを送っても、パスワードが設定されていれば開けません。
誤送信対策ソフト導入も効果的な方法です。
対策ソフトは、メール送信前にセルフチェックを促し、添付ファイルが自動で暗号化されます。
さらには、第三者がチェックするまで送信できない機能もあります。
まとめ
メールは、一度送信すると取り消しできないために、個人情報や機密情報を誤送信すれば事故に繋がりかねません。
重要な情報や個人情報が誤って流出すれば、企業の信用問題に関わり、場合によっては賠償請求されます。
誤送信しないためには、メール送信前に本文や添付ファイル、そして宛先をチェックします。
添付ファイルを送るならばパスワードを設定し、パスワードは別のメールで相手に送りましょう。
コラム監修者 プロフィール
コラム監修者 プロフィール 磯崎学(イソザキマナブ)
磯崎学(イソザキマナブ)
中央大学法学部にて政治学科を学ぶ。
大学卒業後、三井海上火災保険会社で保険営業の基礎を学ぶ。
その後、平成10年12月より独立し、現在、自社の代表を務める。
代理店として25年以上の実績があり、企業への保険提案を得意としている。
事故処理の経験も豊富。
■保有資格
損害保険大学課程コンサルティング資格、損害保険募集人一般資格(通称:損保一般)、生命保険専門資格