お役立ちコラム COLUMN
キッチンカーを始める際に必要な保険と自動車保険の基礎知識を解説!
近年、テイクアウトの需要が高まり、キッチンカーが人気です。
しかしながら、キッチンカーでの営業には事故や食中毒などのリスクもあります。
これらのさまざまなリスクに備えれば、キッチンカーの営業を安全に行えます。
もし、キッチンカーを初めて開業する場合、どのような保険に加入すればよいか分からない場合もあるでしょう。
この記事では、キッチンカーを始める際に必要な保険や自動車保険の基礎知識について解説します。
キッチンカー開業の際に必要な4つの保険
キッチンカーを開業する際に必要な保険は以下の4点です。
1.PL保険
2.施設賠償責任保険
3.自動車保険
4.動産総合保険
それぞれの保険の詳細について詳しく解説します。
1.PL保険
PL保険は正式には生産物賠償責任保険といい、企業や事業主向けの保険を指します。
自身が製造・販売した商品によって顧客に損害を与えてしまった場合に対しての補償をするための保険です。
特にイベントや営業場所によっては、PL保険の加入が出店条件の場所があるキッチンカーの営業には欠かせません。
PL保険の保険料はもちろん保険会社によって異なりますが、保険の対象物や売上高の要素で保険料が決まります。
2.施設賠償責任保険
施設賠償責任保険は、建物や場所、施設などの不備が原因で発生した事故を補償してくれる保険です。
キッチンカーが飲食店とはいえ、事故の原因が提供した食品だけとは限りません。
例えば、キッチンカーの前に設置した看板が何らかの原因で倒れて並ばれている方に怪我を負わせたり、出店場所の床を油などで汚してしまったりするケースも考えられます。
これらの事象では、自動車保険やPL保険では補償されませんので、この保険にも加入しておくべきといえます。
ただし、台風をはじめとする自然災害を起因とする事故に関しては補償の対象外です。
また、PL保険に付帯している場合もあるので、確認してから加入しましょう。
3.自動車保険
自動車保険は事故の際、車の修理代や怪我の治療費、壊した物品の弁償代などを補償してくれる保険です。
自動車保険には自賠責保険と任意保険とがあり、任意保険は自賠責保険でカバーできない範囲を補償しています。
任意保険の補償内容は対人・対物ともに無制限の補償を受けられるケースが多く、加入しておくと非常に安心です。
4.動産総合保険
動産総合保険は、調理器具をはじめテーブルや什器、食材などの動産を補償する保険です。
補償内容は以下の通りです。
・火災、破裂、爆発
・盗難
・運送中の事故
・破損
・車の飛び込み
・飛行機の墜落
・落雷
・水漏れ
・従業員の誤操作など
このように動産総合保険では、万一の火災だけではなく落雷や盗難による被害など、幅広いリスクに対して補償が適用されます。
キッチンカーの自動車保険の基礎知識
キッチンカーを始める際には自動車保険が必要です。
しかし、キッチンカーは一般的な車両とは異なるので、加入するにあたり必要となる知識も異なります。
ここではキッチンカーの自動車保険に関して理解しておくべき基礎知識を確認しましょう。
自動車保険へ加入する際に保険料が高額になる理由
普通乗用車の自動車保険と比べてキッチンカーの保険料は高額です。
その理由について解説します。
まず、セカンドカー割引が適用されない場合があります。
車をすでに所有している場合、本来ならば2台目以降は「セカンドカー割引」の利用が可能です。
しかし、この制度には以下の2つの条件があります。
・1台目の車が11等級以上である
・使用目的が1台目と同じである
現実的に考えると、2台以上の車を保有している場合の1台目は日常用や通勤用、レジャー用などでしょう。
その場合1台目が自家用、2台目が業務用なので割引は受けられないのです。
もちろん、キッチンカーを2台所有していて1台目が11等級以上であれば割引を受けられます。
次に、運転者の条件を指定できません。
一般的に自動車保険はドライバーの年齢が高いほど保険料を安く抑えられます。
また、ドライバーを特定の方に限定しても、保険料が優遇されるでしょう。
しかし、キッチンカーは業務用なので18歳以上であれば誰でも運転できる車での登録が必須です。
つまり業務用として登録する時点で自動的に「全年齢・全運転者」対象となり必然的に保険料が高くなってしまうのです。
特種用途自動車は自動車保険に入りにくい
特種用途自動車とは「8ナンバー」の車です。
8ナンバー車は保険料が比較的安いのはご存じでしょうか?
救急車や消防車などの特殊加工車は用途が特殊なため、ほかの車種と比較して保険料が安く設定されています。
しかし、過去に8ナンバーで登録するために一時的に特殊設備を搭載して保険加入をして登録後に取り外す違法業者が増加しました。
そのために、8ナンバーの保険加入を認めない保険会社が多くなったのです。
現在では8ナンバー専門の保険を探さなければなりません。
修理費用をカバーする車両保険は付けるべきか?
車両保険は、自分の車の修理費などを補償するための保険です。
車両保険を付けるかどうかの判断は個人差があり、どの部分までの補償を求めるかによって変わってきます。
例えば、多少の破損であれば自己資金で修復し、経済的に直せないほどの大事故を起こしてしまったならば、廃業する考えであれば必要ありません。
反対に、軽度の損傷であっても自己資金は使いたくないと思う方は加入すべきです。
まとめ
保険は、顧客や自身を守るために必要です。
補償対象がそれぞれ異なるので、キッチンカーを営業するには複数の保険に加入する必要があります。
キッチンカーは店舗で営業する飲食店とは異なり、移動がともなうのでリスクが高い事業といえます。
PL保険や施設賠償責任保険については、営業の内容に併せて加入しましょう。
コラム監修者 プロフィール
磯崎学(イソザキマナブ)
中央大学法学部にて政治学科を学ぶ。
大学卒業後、三井海上火災保険会社で保険営業の基礎を学ぶ。
その後、平成10年12月より独立し、現在、自社の代表を務める。
代理店として25年以上の実績があり、企業への保険提案を得意としている。
事故処理の経験も豊富。
■保有資格
損害保険大学課程コンサルティング資格、損害保険募集人一般資格(通称:損保一般)、生命保険専門資格